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【朝日新聞】過去2014未来:抱き合えよ、出会えよ男女

1月9日朝日新聞朝刊オピニオン欄。「過去2014未来:人が人と生きること」という特集の中で、フランス文学者の鹿島茂氏の「抱き合えよ、出会えよ男女」より。

(略)
昔は、特に大きな会社だと独身を貫くのは大変でしたから。結婚が社会的な信用につながり、独身者には海外赴任させない圧力まであった。短大卒の女性を採用していたのも、お嫁さん候補だったからです。会社が結婚を奨励する機能を果たしていたのです。
 いま人生の終盤にさしかかり、これでよかったのかと焦り始めた人もいるわけです。でも実害はありませんから、放っておけばいいんです。現代を「男と女」という視点からみるとき、危機的なのはむしろ若い世代です。異性と付き合った経験も恋人もいない若者が増えている。これは深刻です。確実に少子化が進み、人口がさらに減るわけですから。
 フランスの家族人類学者トッドが世界の家族を分析し、日本や韓国、ドイツは直系家族(権威主義家族)型、イングランドや仏北部は核家族型と分類しています。直系家族型は親が子に権威的で、子の1人と同居する。核家族型は成人した子は親元を離れ独立する。
 これを僕は、男女関係に広げて考えたんです。直系家族型の日本は、親に任せておけば結婚相手を決めてくれた。しかし核家族型は親が関知せず、自助努力で相手を見つける必要があった。だから自分で相手を見つけるための様々な仕組みや文化が生まれ、恋愛に向いた社会になったのだと。
 その最先端がイングランドでした。19世紀初めに、結婚前の男女が一緒にピクニックに行く姿を見て驚いた、と政治学者トクビルが書き留めています。
 やがて、この核家族型の価値観が米国に渡った。そしてハリウッド映画が隆盛期を迎えた1920年代以降、この恋愛結婚イデオロギーが銀幕を通じて世界中に拡散していったのです。ハリウッドが果たした役割はとても大きい。
 日本も戦後、米国に占領されてこの価値観を受け入れました。恋愛結婚至上主義の到来です。問題の根源はここにあります。直系家族型でありながら、形だけは核家族型を導入したことです。
 家族構造こそが社会の価値観を決める、というのがトッドの主張です。社会は一朝一夕には変わらない。かつて恋愛装置でもあった会社もその機能を失いました。装置が不十分なまま、日本は恋愛の自由競争社会に突入したのです。相手が見つからない人が増えたのは当然の結果です。日本や韓国、ドイツなど、少子化しているのは直系家族型の国々です。
 反対に核家族型の国々、たとえばフランスでは社会は何でも男女カップルが前提です。レストランでも独りでは入りにくい。日本には独りで入れる飲食店が山のようにありますが。男女の距離感も違います。触れあったりハグしたりは当たり前。これを日本でやったらセクハラになりますよ。しかも日本のように大事な思春期に男子校、女子校に通学していたら、異性と自然に会話する力も育たない。異性の気を引くことができるのはフレンドリーであること、つまり会話する能力だというのに。
 まずは、男女共学を義務化することだと思います。舞踏会のような出会いの場も必要です。サルサでも盆踊りでもいい。とにかく出会った男女が抱き合って楽しむ場を制度化する。昔の社内運動会で社員がカップルでゴールイン!なんてやっていたのも、ある意味この制度化だったわけですよ。
 いわゆる婚活には致命的な欠陥があります。目的が露骨すぎる。参加しようかなという段階で、すでに心理的なハードルが生まれます。舞踏会だったら「踊るのが楽しいから」って参加できる。人間には口実が必要なんです。
 最小努力で最大利益を得ようと行動するのが人間でもある。放っておいたら、恋愛なんて面倒臭いことはやめて漫画やゲームに没頭するオタクが増えていくでしょう。それが本人にとって幸せなら、誰も何も言えないわけではありますが。
 (聞き手・萩一晶)


鹿島氏によれば、昔(文脈からみて、戦後の核家族型価値観受け入れ後と思われます)の大きな会社は短大卒の女性を採用することで恋愛装置が機能していたが、現在では、「かつて恋愛装置でもあった会社もその機能を失いました」とあります。

なぜ会社がその機能を失ったのか理由が書いていません。今も昔も大会社は女性を採用していますので、変わったのだとすれば、「独身を貫くのは大変」という雰囲気がなくなったからでしょう。

つまり、昔の会社が持っていたのは出会いの場を提供するという「核家族型社会」の恋愛装置ではなく、「直系家族型社会」の結婚圧力だとみるのが自然です。

また、現代の日本は昔と比べ、男女の出会いに不自由があるとは思えません。すくなくとも19世紀のイングランド程度(独身男女がピクニックにいってもとがめられない程度)以上の恋愛装置があります。

むしろ、「フランスでは社会は何でも男女カップルが前提です。レストランでも独りでは入りにくい」という指摘が気になります。日本に恋愛装置がないのではなく、フランスに恋愛圧力があるのが真相ではないでしょうか。

男女共学を義務化するだの、舞踏会を開くだのといった恋愛装置の構築はおそらく無駄です。男子校・女子校に通った人と共学に通った人の結婚率に明白な差異があれば、この意見は撤回しますが、おそらくそのような差異はないでしょう。

婚姻率を上げるには、社会が恋愛(結婚)圧力を高めることしか解決策はありません。しかし、それは私的な生活への過剰な干渉とみなされ、セクハラと受け取られるかもしれません。

鹿島氏自身が認めるように、「それが本人にとって幸せなら、誰も何も言えない」というのが現実です。

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